国立で一番長い夜

その日、俺はサークルの後輩宅にてまったりしていた。
大学生が夜な夜な意味も無く集まって、徹マージャンしたり
飲み会したりすることはよくある。
その日もそうした類いの集まりがあり、深夜0時過ぎに俺も参加したわけだ。
キリン・ザ・ゴールドを飲みながら人生の深遠について考えていると、
一緒にいた後輩の北条(仮名)が、
「食料もなくなってきたんで外に買いにいきませんか」
と言って来た。
夜の散歩も悪くないと思い、付き合うことにする。
俺が颯爽とコートを纏うと、隣にいた赤坂氏(仮名)が「俺もいっくよーん。」と立ち上がる。
結局、3人で近くのスーパーに行くことになった。



軽く買い物を済ませ、外に出る俺達。
いつもの道を、いつものように帰ろうとしていた。
この後、自分達の身に何が起こるのか、予想できるわけもなく・・・。



「おい、お前、ちょっと待てよ。」


振り返ると、赤坂氏に絡むロリ幼女・・・ではなくガラの悪そうなDQNが目に入った。
「お前はそんなに偉いのかあぁ?」
と訳のわからぬことを言っている。
酔っ払いのDQNらしい。直感的に面倒なことになりそうだと思った。


「ちょっとどうしたんですか、落ち着いてください。」


と割って入る。あぁなんだお前はと矛先がこちらにも向く。
適当に謝る&適当にあしらうコンボで事を収めようとするも、
日本語が通じない男には効果がなかった。
大声で怒鳴りながら肩で小突いてきたり、足を出してきたりした時点で
これはダメだと思い、K察に通報。
男はその後も暴れ続け、道路に飛び出してタクシー止めたり、
他の通行人に絡んだりと好き放題をしていた。
一応、まだ乱闘状態にはなってなかったので俺と赤坂氏は
とりあえずその場で静観をすることにする。



K察遅いなーとか思ってると、いきなり男がターゲットを変更し、
北条の方へと向かっていった。
後ろから北条の髪を掴み振り回す男。
これはさすがにやばいと思った俺は赤坂氏と一緒に男を取り押さえにかかった。
男は身長が高く力も強かったが、通行人の助力もありなんとか
地面に押さえつけることに成功する。
マウントポジションだった俺は一発ぐらい殴ってもばちは当たらないよなーとか
思うも、後々面倒くさいことになりそうだったのでさすがに自粛。



数分経ってK察が来る。遅いっつの!!
男は連行され、我々も事情聴取のため署まで同行する。
30分で終わるはずの調書が2時間以上かかり、結局帰れたのは朝の5時ごろ。
後に残ったのは、無残にも引きちぎられた俺のコートと、もはやつまみにもならない
酒のつまみと・・・・・・嫌な思い出、か。
・・・やれやれだぜ−y( ´Д`)。oO○
でも、男に絡まれたときにちょっとだけわくわくしたのは内緒w



K察の人が「世の中には色んな人がいる」と言っていたが、
全くもってその通りだな。
・・・そして今。時計は午前0時半を指している。
俺はうまい酒を求めて夜のコンビニへとでかけることにする。
桜が咲いても夜はまだ寒い。